研究内容

レギュラトリーサイエンス研究

 
(図1 新潟医学会雑誌掲載予定)
 
レギュラトリーサイエンスは、医薬品、医療機器又は再生医療等製品(以下、「医薬品等」)の研究開発戦略の構築や承認審査等に欠かせないツールとして、近年注目されています。レギュラトリーサイエンスの原義は、薬事規制当局において医薬品等の有効性及び安全性の評価方法を科学的に検討することですが、各国規制当局、製薬企業及びアカデミア等で広く用いられるようになり、現在では、臨床評価ガイドライン作成、製造販売承認後の医薬品適正使用、さらにはリアルワールドデータの活用等も含む概念として扱われています。レギュラトリーサイエンスの定義については、各国規制当局が公表していますが、概ね「有効かつ安全な医薬品等を迅速に患者に届けるために必要な評価方法や医療政策を開発するための科学的活動」と捉えることができます。これを追究しようとする行為をレギュラトリーサイエンス研究と呼称し、医薬品等の研究開発段階によって様々な研究テーマがあります(図1)。
 
ドラッグ・ラグは、海外で承認されている医薬品が本邦で承認されるまでの遅れのことであり、患者の立場からは、海外では有効な医薬品が使用可能であるのに本邦では治療が受けられないことを意味します。新薬の多くは欧米で先に承認され、本邦で遅れて承認されることが古くから指摘され、ドラッグ・ラグは、本邦の医療上の課題として、長らく問題視されてきました。厚生労働省及び医薬品医療機器総合機構は、種々の優先審査制度を打ち出すとともに、新薬の審査期間を劇的に短縮しましたが、ドラッグ・ラグが実際にどの程度短縮されたかは不明でした。そこで、我々は、本邦で承認された新薬について検討し、新薬全体のドラッグ・ラグは、審査期間の短縮と国際共同治験の増加によって大幅に改善しているものの、疾患領域別でみると、神経・精神・新薬承認数の小さい領域のように開発が難しい領域では、大きなドラッグ・ラグが未だに残存していることを明らかにしました(図2)。  
(図2 Tanaka et al. Clin Pharmacol Ther. 2021より改変)
 

現在取り組んでいる研究テーマ

  • 腹膜透析患者を対象とした臨床試験
  • 臨床試験デザインに関する研究
  • 日米欧ドラッグ・ラグに関する研究
  • 承認審査制度の問題点に関する研究
  • 医薬品安全性速報に関する研究
  • 新潟大学
  • 新潟大学医歯学総合病院
  • 法人向けの会員制コワーキングスペースI-DeA
  • 厚生労働省
  • 独立行政法人医薬品医療機器総合機構
  • 国立研究開発法人日本医療研究開発機構